大判例

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最高裁判所大法廷 昭和23(れ)1922 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人福田力之助の上告趣意第一点について。

論旨は、要するに、その趣旨とするところは、原判決は被告人が昭和二二年度産

米一一石四斗五升四合三勺を同年二月末日までに政府に売渡すべき旨の通知を受け

たにかかわらず、六石を売渡したのみで、その他の割当数量を集荷機関に納入しな

かつた事実を認定して、食糧管理法第三二条を適用処断したが、被告人は、当時若

干の種籾及び食糧を所有したのみで、所謂供出が不能であつたのであるから、被告

人には故意がなく犯罪が成立しない、しかるに、原判決は故意の点について証拠に

よる理由を説明していないから、原判決には理由不備もしくは審理不尽の違法があ

ると言うに在る。

しかしながら、原判決の挙げている証拠によれば、被告人に本件犯行につき犯意

のあつたことを肯認し得られるのであるから、原判決には所論のような理由不備も

しくは審理不尽の違法はない。所論は、結局、原審が適法の範囲内で決めた事実の

認定及び証拠調の限度を非難するに帰着するので採用することができない。

同第二点及び第三点について。

本件は、被告人が逮捕された昭和二三年三月一六日から約一ケ月日の同年四月一

六日には第一審公判の弁論も終結されて、事件の審理は順調に運ばれているのであ

る。されば、被告人が前記公判期日まで拘禁されていたとしても、その公判におけ

る自白は、不当に長く拘禁された後の自白と言うことはできない。それ故、原審が

右公判における被告人の自白を証拠に採用したことは刑訴応急措置法第一〇条に違

反するものではない。また、被告人が所論のように拘禁されたのは、本件犯行を犯

したことを疑うに足りる相当な理由があつたことによるものであるから、その拘禁

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は正当であつて憲法第一一条第一三条に違反するものではなく、その拘禁中の自白

を証拠として採用しても憲法第三八条に違反するところはない。

よつて、本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴法第四四六条に従い主文の通り

判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二四年一〇月五日

最高裁判所大法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 井 上 登

裁判官 栗 山 茂

裁判官 真 野 毅

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 島 保

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

裁判官藤田八郎は出張につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

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